じゃがいもの収穫と子どもたちとの日々
目次
大田原地区在住のヨコヤマです。
1.
猛暑の日々が続いています。山の上にある大田原でも日中の陽差しと暑さはもの凄いですが、それでも古い家屋には朝晩の涼しい風が縦横に通りぬけ、エアコンのいらない暮らしです。
そんな季節は、夏野菜のおいしい時期でもあります。
わが家の野菜畑はいつも草におおわれ、なかなか思うような収穫ができません。そんな状況を知ってか、ご近所の皆さんが毎日のように畑の野菜を分けてくれます。
「子どもたちにいっぱい食べさせとくれ」
「きゅうり取れすぎちまって。たくさん食べな」
農業の大ベテランのおじいちゃんおばあちゃんが手塩にかけた、採れたての野菜たち。きゅうり、なす、ピーマン、トマト、ズッキーニ、とうもろこし、にがうり、いんげん。畑からまっすぐに届いた野菜はつややかに光って、まるで宝石のようです。
「こっちの辛い『こしょう(唐辛子)』は大人のだな」
「とうもろこし茹でたから食べてみて」
玄関先でのやり取りも、ただただ嬉しく、この土地に暮らすいちばんの楽しみかもしれません。
「これは〇〇さんちのズッキーニ」
「「××さんにもらった とうもろこしはマジで甘いね」
食卓にのぼるときも話の種の尽きない夏の日です。
2.
そんなわが家の畑ですが、今年はじゃがいもがよくできました。
春の植え付けから芽の間引き、花摘みなど、子どもたちがせっせと手伝ってくれたじゃがいも。
先日の休みに、一緒に掘りあげました。貯蔵のきく野菜は穀物と同じで、このさき数か月の食べ物ができたうれしさが、ずっしりとした手ごえになって感じられます。
新じゃががとれると、うちじゅうでじゃがいも料理をするのがわが家の恒例行事。
今年もコロッケとサモサをつくりました。
子どもたちは年々頼もしくなって、たくさんのお手伝いをしてくれます。
いもを蒸かしてひき肉を炒め、コロッケの形をつくり、サモサは小麦粉から皮をつくって具を包み、山ほど揚げてみんなで腹いっぱい食べました。
この先しばらくはじゃがいもを蒸かしたり揚げたりして食べればいいかなと安心しています。
3.
こんな暮らしを、子どもたちはどう感じているのだろう。
いちばん上のお姉ちゃんがうまれる春に、大田原で暮らしはじめたわたしたち。
子どもたちはみんな、物心のつく前からここで暮らしています。
我が家は農業をなりわいにしていて、自分たちが食べるものもあれこれ作ってみる毎日。
いつも大人がやっていることといえば、だいたい子どもたちにも理解のできる仕事ばかりです。
子どもたちに聞けば、
「もっと都会がよかった」
「マンションとかに住んでみたい」
「会社に仕事いかないの?」
「ひとりっこに憧れる」
「プリンセスがいい」
などと、好き勝手ばかり言っていますが・・・。
お前ら、じゃがいも揚げたら真っ先につまみ食いするじゃねーか!という感じです。
この地区で子育てをしているのは、うちともう一軒。
地域のみなさんが子どものことを見守り、大事にしてくださっていると感じます。
思い出すのは、子どもの夜泣きがひどくて、深夜に近所を散歩していたころ、「子どもの泣き声がするのは、昔のようでうれしい」と言ってくれた近所のおばあちゃんのこと。
それから、子どもが学校になじめず、ずっと登校せずに過ごしていたときも、道や畑で変わらず声をかけてくれたおじさんのこと。
大田原地区から学校までの山道は遠く、本数のすくないバスが唯一の公共交通です。
習い事や友達との遊び方は制限されてしまう環境にありますが、山里の景色とたくさんの人に見守られて、子どもたちなりの毎日を過ごせていると思います。
どんなふうに育つのか、先々のことは分かりません。
それよりも二度とないこの瞬間を目いっぱい生きてくれたらいいなと、親としては思っていますよ。
この記事を書いた人:移住者ライター ヨコヤマタケオ
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